「暗殺」柴田哲孝 著 を読みました。以下、感想を書いていますがネタバレ含んでおりますので、未読の方はご注意ください。
読み終わって、「すごい。よくここまで書いたなあ」というのが、まず一番の感想でした。陰謀論という言葉で上手に真実を隠してきた手法が、今後はもう通じない世の中になっていくんではないかと、そう思います。
インターネット上では膨大な情報があって、玉石混交ですが、中には必ず真実のものも含まれているわけです。昔なら、怪文書など広める手段は限られていたけれど、今は一瞬で世界に広がる。安倍首相の暗殺について様々にささやかれてきたネット上の憶測の中にも、必ず真実のカケラはあったはず。けれどネットに触れない世代にはそれは届かなかった。それが、今回は書店に置かれる本という形で、ネットに触れない層に向けて発信されたんです。その意義は大きい。
フィクションを謳うこの本の、どこまでが真実で、どこまでが虚構か。それを知ったら、これからの政治を見る目が変わるかもしれない。
私はもう、「田布施」の文字を見ただけで、ものすごい衝撃を受けました。日本の政治の歴史の中で、「田布施」の謎は大きく、闇は深い。田布施についてささやかれる様々な噂が、いっきに頭の中によみがえってきました。その「田布施」を、元首相の名前に使うというこの意味!
田布施という名の首相、もちろん暗殺された安倍晋三元首相がモデルですよね。私は安倍さんについて元々詳しいわけではないし、安倍マスクの配布のときなどは感謝してこのブログでも記事にしたぐらいですが、その後、安倍元首相の暗殺があり、暗殺をめぐるさまざまな情報に触れて、田布施の地名もその中で知って、興味を持っていました。
この本の中では、統一教会とおぼしき宗教団体の話もでてきますが、重く深くうならされます。安倍元首相が暗殺されなかったら、きっと出てこなかったつながり。岸信介時代からの秘密。
ケネディ暗殺におけるオズワルドが、山上被告だとしたら、その背景にあるのは何か。
たしかに、山上被告が宗教二世で辛酸をなめてきたという背景は、暗殺の動機としてはおかしくはないけれど、素人が作った手製の散弾銃が周囲に全く被害者を出さず、安倍元首相「だけ」をピンポイントで死に至らしめるのかと言うと、疑問が残りますね。
撃たれた角度の話、消えた銃弾、急きょ変更された応援演説の地。
仕組まれた暗殺計画で、内通者がいて、山上被告がオズワルドに仕立て上げられたとすれば、全部辻褄が合ってしまう。
ネット上では当然のように語られていたことが、出版して本という形になったということが、凄い。
陰謀論なんて嘘でしょ、陰謀論なんて怪しい、そう思っている人にこそ、読んでもらいたい本です。