土地契約の落とし穴

家を新築する計画をしている知人がいます。土地探しから始めているのですが、昨日ばったり会ったところ、土地の契約でトラブルがあったそうで、とても悩んでいる様子でした。

土地の売買契約書に、判はすでに押してしまっている。けれど、土地の整地に関して、約束した条件と違う話になって進められてしまっていると。

要するに、口頭で約束したことが、実際には守られなかった。売買契約書に整地の詳しい条項は載っていなかったため、「言った」「言わない」「・・・のつもり」「いやそんなつもりじゃなかった」と、仲介業者との間でもめているのです。

所有権移転登記はまだのようですが、こういうときどうすればいいか。手付金の放棄で解約できればいいのですが、違約金が必要な解約となりますと、金銭的負担が大きくなります。

道は2つ。

1.このまま売買契約を進めて土地を入手し、必要な整地は自費で行う。

2.たとえ高額な費用がかかっても、契約を解除する。

どちらを選ぶか、悩ましいですね。土地の売買、スムーズにいけばいいのですが、いったんこういうトラブルになると、悔しく悩ましく、楽しみにしていたはずの新築の計画が台無しになってしまいます。どうすることがよかったのか。

あまり具体的なことまでは聞いていないのですが、聞いた範囲内で私が感じたのは、大金が絡む契約は慎重の上にも慎重を期するという、それぐらいしかトラブル予防策はないかな~ということです。
そのためには、仲介業者とは別に、不動産に詳しい第三者に契約書をチェックしてもらい、自分達に不利な条項がないかどうか、逆に必要な条項がもれなく入っているかどうかを確認した上で、判を押す必要があるのかもしれません。

でも、それって本当は仲介業者の役割なんじゃ、とも思いますが・・・。

そうです。本当はプロなんだから、そのための仲介料を払うわけなのだから、不動産のプロである仲介業者がきちんと仕事をすればいいだけなんですが、それをやっていない。

でも、いざ第三者に契約書をチェックしてもらうといっても、適切な人が周りにいるとは限らない。そしてお金を払ったからといって、いい人を契約できるわけではない。

本当は不動産業界全体がもっと、質を向上しなきゃいけないんじゃないかな。悪徳な業者は、業者名を公表されるようなシステムができればいいのに。

契約さえ結べればいい。売り手と買い手のうち、どちらか気の弱い方、文句を言わなそうな方を丸め込んでしまえばいい、今回のケースには、そんな仲介業者の意志を感じました。

だって、土地の売買契約書に、整地についての詳しい条項をつけることなど簡単なのに、それをやっていない。そしてともかく、お互いが事前に納得していればもめないのですから、詳細を話し合って決めておけばいいだけなのに、それをしていなかった。
でも仲介業者がそれを怠ったのは。おそらくですが、売り手が適切に整地を行うと、お金がかかりすぎて、売り手側が契約を渋ったり機嫌を損ねる可能性があったんではないかと。

整地にこんなにお金がかかるなら売らないと言い始めたり。あるいは、仲介業者を変えると言い始めたり。そうした事態を恐れて、仲介業者は、売り手にはなるべくお金のかからない最低限の整地を提案したのではないかなあ。

その一方で。人の好さそうな、文句を言わなそうな買い手には、口頭ではきちんとした整地を約束し、でも契約書には書面としてその事実を残さなかった。書面にしておかなければ、うやむやになり水掛け論になって、なんとでも買い手を丸め込めると考えたんじゃないだろうか。今さら解約なら、解約金がかかりますよ、高いですよと言われれば、素人は怯む。

仲介業者にしてみれば、契約さえ完了すれば、仲介料がもらえる。売り手や買い手が嫌な思いをしても、そんなの関係ない、ということなのでしょう。

こんなの、プロじゃないなあと思います。整地をどこまでするか。はっきりさせておくのがプロ。売り手にも買い手にも納得してもらい、トラブルがないようスムーズな取引を進めるのが、不動産仲介業者のはずなのに。

お金をたくさんかけて、隅々まで整地すればその分、土地の売値は高くなるでしょう。
お金をかけずに、最低限の整地ならその分、土地の売値は安くなるでしょう。

どちらにしても、売り手と買い手が納得していれば、ちっとも揉めないわけで。整地の条件が違ってくれば、それはもう買い手としては納得いかないのも当たり前。

結局このケース。トラブルに悩む知人は、契約を続行するか、解除するか。どうするんだろうか。

私の周囲では、不動産業界と建築業界で、あまりいい話を聞かないです。プロならプロらしく、いい仕事をしてもらいたいし、そういう誠実な業者が、しっかり報われる業界であってほしい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です