t.A.T.u の歌った All the things she said はいい曲だなあと思う。彼女たちのキャラクターは好きじゃない。ドタキャン騒動は呆れて見ていた。ただこの曲は、好きなのである。
ジュエミリアという2人組みが、この曲をカバーして日本語バージョンで歌っていた。当時プロモーションビデオの一部を見て、おいおい・・・・と無言になったものであるが、今あらためて聞いてみると、これはこれでなかなかいいじゃないですか、と思うのである。
10代の女の子のひたむきさ、のようなものがあふれている。真っ直ぐな穢れない愛情への憧れ。
自分の高校時代を思い出して、しみじみ。私は女子高出身なので、なんとなくこういう雰囲気に共感してしまう。
今でも、目を閉じると鮮明にあの頃の空気が蘇ってくる。古い校舎。いちょうの並木。セーラー服。笑い声。遠くから聞こえる陸上部の掛け声。
宝塚ちっくなノリも、もちろんあるのだ。他愛ない擬似恋愛も。あそこは温室だったなあと思う。卒業してしまえば、当たり前のように外界へ出て行くわけで、そうなる前のほんのひととき、同じ年代の女の子たちが、笑って泣いて、一緒の時間を過ごした場所。
映画「1999年の夏休み」や「櫻の園」にも、同じ空気を感じる。2度と戻らない時間は、ひときわきれいに見えるものである。