7月4日マチネ。帝国劇場でダンス・オブ・ヴァンパイアを見てきました。以下、感想ですがネタバレもありますので、未見の方はご注意ください。
かなりいいです。思ってたよりずっとよかった。演出の山田さんのブログを読んでいると、自分の感性とずいぶん違うので、実際の観劇を楽しめるかどうか不安だったのです。ちなみに私は『エリザベート』がどうしても駄目だった(エリザベートのわがままっぷりに腹が立ってしまう)のですが、このダンス・オブ・ヴァンパイアは好きですね。私の目にはトートより、伯爵の方が魅力的に映りました。山田さんさすがです。
今回はかなり前方席で見ることができたので、歌だけでなく役者さんの演技や細かい表情も楽しめました。でも、たとえ2階B席の最後列であっても、観劇の価値はあります。『抑えがたい欲望』という伯爵ソロの名曲があるからです。この曲だけのために通ってもいい、そう思える舞台でした。
ダンスも素晴らしかったです。動きが激しくてキレがあって、躍動感にのみこまれそうでした。一流ダンサーの鍛えた肉体は、美しいですね。衣装もそれぞれ違うし、メイクもさまざま。踊りには個性があるけど、全体としてバランスがとれていて統一感がある。
後ろの席だとちょっと見えづらいかもしれませんが、前方席だったら本当にお得です。音楽とあいまって、こちらまでなんとなく心臓の鼓動が速くなる。私は下手で見ていましたが、目の前で踊っている女性ダンサーの足に見とれてしまいました。ミニスカートというか、バレエのチュチュっぽいものを着て、ブーツを履いている人です。この人の動きがよかった。思わず目を奪われてしまった。後でパンフレットで名前を確認したのですが、顔だと判断つきません。パンフレットには、衣装着用で全身写真を乗せてほしかったなあ。
ダンスシーンは、もっとあってもよかったかも。一幕は少し退屈なところが多かったような気がします。もっとダンスが見たかったなあと思いました。物足りないです。欲張りかもしれませんが。
二幕は激しいヴァンパイアたちのダンスでフィナーレとなるのですが、手拍子はちょっと入れづらくて、慣れないと観客も一緒になっての盛り上がりにならないですね。今回はスタンディングオベーションできませんでした。舞台は素晴らしかったし立ち上がりたかったけど、どのタイミングで立つか計りかねてるうちにアナウンスが流れ、終わってしまった。
演出・装置・衣装は日本版オリジナルとのことですが、これはとっても素敵でした! 重々しい、荘厳な感じがよく出てる。照明の青色もきれいだったし、スモークも効果的に使われてたし。お気に入りは、お城の門。禍々しいデザインで、かつ安っぽくなく作られているのがよかったです。あれで、いかにも「つくりもの」めいた出来栄えだったら、一気に現実に引き戻されてしまうから。
あの青銅の門、そして螺旋階段。重量感たっぷりに見えて、物語の世界に入り込めました。
本棚も、細かいところまで気を遣って作ってあるなあと思いました。作り手の真剣さが、舞台装置に命を与えたのではないかと思います。本物ではないとわかっていても、違和感はありませんでした。
メイクもよかった。衣装も。吸血鬼たちはみんな個性的で、一人一人観察するのが楽しかったです。指先の動きひとつをとっても、人によって違う。どこに目をやっていいか迷ってしまうくらい、自分の目が2つしかないのが悲しくなるくらい、あっちこっちでいろんな動きがあって、面白い。吸血鬼は客席通路を通ることが何度もあるので、後方席のお客さんも楽しめるんではないでしょうか。私は今回前方席だったので、吸血鬼が通路を通ったからといって特に、なにも感じなかったですが。後方席だとどうしても舞台からの距離を感じてしまうと思うので、そういう点で、目の前を吸血鬼が通る演出は楽しいなと思いました。
ただ、舞台から客席に降りるときの階段は危ないです。あれは、改善した方がいいのではないでしょうか。何人もつまづいていて、可哀想でした。真っ暗な中で、しかも急いで降りなければならないから、無理もないと思います。あそこは階段より、緩やかな坂にした方が安全な気がします。市村さんもバランスを崩していて、見ていてヒヤっとしました。あのままにしておいたら、必ず誰かしら怪我をすると思う。
夢?ダンスのシーンでは、サラ役の剱持さんはこっそり入れ替わって、影武者のダンサーが踊るのですね。最初、あまりにもうまいので「すごい。あれだけ歌えてこれだけ踊れるなんて」と感心していたのですが、よく見ると顔が違いました。でも、これはいいアイデアだなと。オリジナル版でもそうだったのでしょうか。
歌が得意な人、ダンスが得意な人、それぞれですから、うまい人がやればいいんだと思います。少し離れて見れば顔の区別なんてつかないです。だったら、うまい人がやったのを見る方が楽しい。
長くなりましたので続きは明日。