先日、オフィスマナー講座を受けてきました。内容は、お客様のご案内の仕方や、お茶の出し方など、仕事でも役立ちそうなものばかりだったのですが、驚いたことが2つ。
まず1つ目。会社に来たお客様を、ご案内するとき。階段では、お客様に先に上がっていただくのがマナーだそうです。
これ、知らなかった。例えば、廊下などでは、お客様の斜め前辺りを先導する形で歩きますよね。だから、その流れで階段も、自分が手すりより少し離れた側で、斜め前を先導するように上がるのだと思ってました。ところが講師曰く、「お客様より上を歩いてはいけない。もしお客様がスカート姿で、階段を先に上がるのを嫌がるようなら、必ず自分が一言断ってから、先に上がるようにしてください」とのこと。
なんだかこれって、不自然な感じがしませんか?
もし自分が案内される側で、廊下は普通に先導されていたのに、階段になったら急に「お先にどうぞ」なんて先に上がらされたら、正直、戸惑うと思います。何で急に?って。
知らない場所を案内してもらうわけだから、やっぱり先導された方が楽です。
それで、講座終了後に講師の方に質問してみました。階段をご案内する場合、自分が先に行くときは、必ず声をかけないといけませんか? お客様の真上、お尻を向ける形で歩くのは確かに失礼かもしれませんが、そうではなく斜め前を先導する形なら、特に断りを入れなくてもそのまま先導してしまってもいいですか?と。
そしたらその講師の方は、「だからテキストに書いてあるでしょう。お客様の上を歩くのは、絶対駄目なんです。お客様がスカートとかそういうときは別として、上を歩いてはいけません。お客様が階段で転びそうになったら、下から支えてあげるためにも、下を歩くんです。いいですか? マナーにはなんでも意味があるんですよ」
とかなり強い調子で、答えました。
それ以上は突っ込みませんでしたが、これはかなりびっくりでした。そうなんですか。それがマナーだったんですね。実際、エレベーターでご案内することはあっても、階段で案内したという経験は今までなかったのですが、もし自分がそういう場面に遭遇したら・・・。
どうでしょうねえ。やっぱり先に上がってしまうと思います。
もちろん、自分は手すりから離れた位置で、お客様を手すり側にして、「お足元ご注意ください」と言いながら、少し先を行く形で案内してしまうと思いますね。それが自然な気がする。
講師の方は、「これが絶対正解」と言っていましたが、お客様を先に上がらせて、自分がその後ろに続く形って、お客様にとってはなんとなく、嫌な感じがしませんかね? 私だったら自分の後ろを歩かれるのは、嫌な感じがします。別にスカートはいていなくても、嫌ですね。
それに、お客様が足をすべらせたら下から支えるって、無理がないですか? 私はわりと体を鍛えている方なのでもしかしたら何とかなるかもしれませんが、女性って華奢な人が多い。その人たちが、足を滑らしたお客様を支えられるとは、思えないです・・・。むしろ、事故の被害が大きくなりそうな気がするのですが。
講師の方は、授業中「マナーに絶対の正解はない」と言っていた割に、この件については断言していたので、内心???と思ってしまいました。
それとびっくりしたことの2つ目。
たとえば、営業の男性と2人で車に乗る場合。その営業さんが車を運転するとしたら、どこに乗るのがマナーだと思いますか?
答えは、「助手席でなく後部座席」だそうです。
これも衝撃でした。逆に、失礼な感じもするのですが。だって、タクシーじゃないんですから、当然自分が助手席に乗るのが当たり前だと思ってました。
助手席って、ナビゲーターの役割もあるし、なにか用があるときに、さっと車を乗り降りしてこまめに動いたりする席だと思うんですよね。
たとえば飲み物を買いにいったりとか、歩いてる人に道を聞くとか。
講師の先生曰く、「たとえば知人に見られたときに、助手席に女性が乗っていると誤解を招く場合がある。運転している男性にそういう心配をかけないために、助手席に乗ってはいけない」だそうです。
でも私、もし自分が男性で、仕事でアシスタントの女性を車に乗せるとして、その人がいきなり助手席でなく後ろに乗ったら、オイオイ・・・と思っちゃうでしょうね。
講師の先生曰く、「運転の男性から、助手席に乗っていいよと言われたら、乗ってもいい」だそうです。だけど、このセリフ言えなくないですか? ちょっとセクハラみたいで(^^;
もし相手の女性が最初から後ろの席に乗ったら、内心、「ああ、この人は助手席に乗りたくないんだな」と思うし、そういう女性を無理に、助手席に乗せるのは嫌ですもん。
逆にね、助手席に乗った女性を、後ろの席に誘導することは簡単だと思うんですよ。「助手席でなくて、後ろでのんびり乗ってていいよ」って言いやすい。
なんだか今回のマナー講座は、講師の先生がイマイチな感じでした。
精神論にものすごく時間をとっていたし。それがもったいなかったです。今回の講座は自由参加で、だから参加者はみんな真面目な人が多かった。「お客様をおもてなしする心が一番大事」って、そんなこと皆、わかってますよ。わかってて、だから失礼のないマナーを教わりたいと思ってきたのに。おもてなしの心がない人なら、わざわざこんな講座をとりません・・・。
マナーってひとつの形があって、その上で、ケースバイケースだと思います。上座・下座にしても、基本を教わっていれば応用がきく。その基本を教わりにきてるのに、精神論を長々と話されても、「わかってますから、具体的に話を進めてください」って思っちゃう。
あと、気になったのが、受講生の失敗を皆の前であげつらったこと。
お茶だしの練習をしているときに、一人の子が間違ったことをやったら、それを大声で指摘したあげく、「もう一度やってごらんなさい」と言って、全員が注目する中、何度もそれをやらせたんです。その子は恥ずかしかったのか、次には正しいやり方でやったんですが、「さっきは違うやり方したでしょ。さっきのやり方でやりなさい」と、何度も何度もやらせて。
気の毒でした。その子は講座が終わった後、誰よりも先に帰ってしまったけど、その気持ちがわかるような気がしました。
オフィスマナーを教える先生なのに、根本が間違ってるような・・・。それでも、マナーの講師として仕事しているのが、不思議な感じでした。こんな人でも、講師としてやっていけるんだなあと、妙に感心してしまいました。