もしも春さんが全快していたら 追記

 『ガラスの仮面』美内すずえ 著 について語ります。二次創作の文章も含みますので、そうしたものが苦手な方は、ご注意ください。☆印は、私が勝手に想像したものです。

 昨日、「もしも春さんが全快していたら」ということでちょこっとパロディを書いたんですが、実は、本当に書きたかったのはそれじゃなかったんです。

 なにを書きたかったかというと、「春さんと再会できてストレートにお礼を言うマヤちゃんに、戸惑う速水さん」だったんですよ。素直になれなくて、複雑な、微妙な、不安な、落ち着かない表情を浮かべる速水さん、というのに興味があった、というか、書きたかった。

 だから最初は、そのつもりで書き始めたのに、どうにも筆が進まない。なぜかというと、私の中の脳内速水さん(笑)が邪魔をするんです。

 「絶対、お礼なんて言わせない」って、強情張ってる。なんでよ?と私が聞いてみると、「そんなこと言われたら、どんな顔すりゃいいんだ。お礼なんて言われたくない。憎まれてたほうがいい」って。

 あはは、脳内で妄想の会話を繰り広げてしまう私も、相当ガラスの仮面に毒されてますね(笑)

 まあ、そんな脳内会話を交わしつつも、私自身がその場面を見たかったので書き始めたんですが、脳内速水さんは頑固だった(^^; 全然動いてくれないんです。書こうとしても、どの角度から書こうとしても、ぷいって横向いちゃう感じで。

 まあ、そうだろうなあと思いました。

 

 たぶん速水さんは、マヤに対しては素直になれない人で。マヤと下手に真正面から向き合っちゃうと、鋼鉄の仮面がとれちゃうんだろうなあって。その下にある繊細な素顔は、とても傷付きやすくて。とてもじゃないけど、そんな無防備な素顔、さらす勇気なんてないでしょう。

 厳しい仕事の世界を生き抜いてきたのは、その仮面をつけていたからこそだろうし。それをなくしたら、彼はどうなってしまうんだろうって。

 だから速水さんが、お礼を言おうとするマヤちゃんを阻止する場面、しか書けなかったんです。

 でも掲示板にコメントもらって。それを読んでまた、別パターンの二人が浮かびあがってきたんですよね。

 ほら、マヤちゃんて天然じゃないですか。

 速水さんはマヤちゃんを操ることなんて簡単にできるだろうし、マヤちゃんがお礼を言おうとすればそのたびに、それと悟らせず阻止してしまうだろうけど、でもでも、マヤちゃんの天然行動までは察知できないはずだ~と。

 マヤちゃん。活動的な日には、一秒ごとにくるくると考え方が変わるときもあるんじゃないかと思うんです。さしもの速水さんも、その速さにはついていけないはずだ(笑)

 いろんな側面を持ってる子ですからね。

 一日中ぼや~んとしてる日もあれば、めまぐるしくいろんなことを考えてる日もあると思う。

 たとえば、速水さんに嫌味を言われたのを引きずって落ちこんで、ちょっぴり腹を立てて。

 お礼なんて言ってたまるもんですか!と鼻息荒く決意したその一秒後。速水さんの顔見た次の瞬間に、「あ、やっぱり今言おう」って、決意しちゃったりね。それで、熟慮せずにもう、口に出しちゃうの。速水さんがとめる間もなく。

☆「母さんのこと、ありがとうございました。感謝してます」とかね。

 こういう突発的な行動に、速水さんは弱い、と、思う。

 仕事一筋で来た人だから、駆け引きには強いけど、この裏表のない突然の行動に、耐性はないはず。無理もないよね。速水さんの周りにいるのは、みんな腹に一物ある人たちばかりだろうから。

 大都に所属している俳優だったら、普通は、対人間として速水さんに接するというより、やはりそこはいろんな思惑が絡んだ上での関係にならざるをえないと思うんですよ。速水さんはそれを、当然のように受けとめてきただろうし、そんな利害だけで成り立つ関係を、寂しいだなんて思ってはこなかっただろうけど。

 マヤは例外ですね。速水さんを一人の人間として見てる、感じがします。だから行動に駆け引きがない。だからこそ逆に、行動が読めない。

 それで、マヤは素直な子だから、そりゃあ速水さんに対して普段いろいろ思うところはあれど。いざお礼を言う瞬間は、キラキラした純粋な瞳で真っ直ぐ、見上げると思うんですよね。

 そういうのって、普通の人でも戸惑うと思う。

 あんまり汚れのない目で見られると、自分の装飾が途端に、薄汚いものに見えちゃったりとか。普通の人ですらそうなんだから、マヤに惹かれている速水さんにしてみたら、それ以上の衝撃でしょう。

 油断してたところに、至近距離から爆弾が・・・みたいな。

 どんな仮面も、木端微塵にはじけ飛んで。その瞬間。マヤの瞳の前に、丸裸にされてる自分がいる・・・そんな状態ではないかと。

 速水さんはどう反応するでしょう・・・。

 反応、できないな、たぶん(笑)

 ぽかーんと。

 ただ、居心地悪く、マヤにみつめられている状態。

 もうね、落ち着かないね、これは。

 あー、誰かこのムズムズ感をなんとかしてください、的な。

☆な・な・なにが起こったんだ。おかしいじゃないか。

☆きみがおれに・・・か、か、感謝だと?? 

☆そんな目で見るな。どうかしてるぞ。勘違いするなよ。

☆おれはそんな目でみられるような人間じゃない。

 上記のような感じかな~。

 この場面にぴったりの絵は、そうですね~、あの、2011年別冊花とゆめ3月号。

>おれは・・・

>そのとき どうしようもないくらい無防備な表情(かお)をしていたと思う・・・

 あのときの場面を想像すると、ぴったりだと思いました~。仮面が外れた瞬間。

 もしくは、あれですよ。コミックス46巻。紫織さんの用意した部屋で、ダブルベッド見て顔赤らめた瞬間の絵、とか。

 あのときの絵。速水さんは赤面しただけでなく、その羞恥には怒りも含まれていましたよね。

 もしも速水さんが、マヤちゃんにストレートにお礼言われて、日頃自分がかぶってる冷静な仮面を思いがけず引っ剥がされたら、怒りが混じることも、あるかもしれないと思うんですよね~。恥ずかしいからね。本当の自分をみせてしまった照れは、そのまま怒りにつながるかと。

 だからあの場面の絵、あんな感じになるのかなあ~と想像しました。

 羞恥(照れ)と。そこから生まれる怒りの感情と。

 まあ、どちらにしろ、仮面が外れた瞬間はあまりのことに呆然として身動きとれなくて。

 でもその後、猛然と反撃にでるだろうなあ。修理しなくちゃいけない、壊れた仮面。アロンアルファで補修しなくちゃ、歩けなくなってしまう。

 だからマヤを攻撃すると思う。

 自身が受けた衝撃を、絶対悟られまいとするからこその、攻撃。攻撃は最大の防御、ですもんね。

☆(唇の端に皮肉な笑いを浮かべつつ)

☆きみもずいぶんと自信過剰になったもんだな、チビちゃん。

☆おれがきみ個人のために動いたと思ったのか。

☆生憎だな。おれは大都の商品をプロモーションしたにすぎない。

☆だが、礼はありがたくもらっておこう。

☆きみが口先だけでなく、大都に尽くすことを期待しているよ。

 上記のような台詞、もし速水さんが言ったらマヤちゃん凍りつきますね。自分で書いてていうのもなんだけど、これじゃ意地悪すぎるなあ。でも速水さん、言いそうなんだよな。自分を守るために。そうでもしないと、落ち着かないから。崩れた自分を、取り繕えないから。

 それでもし、マヤちゃんがかっとして、なにか言い返したら。

 速水さん、ほっとしそうです。

 あ~やっと、いつもの関係に戻れた。安心安心、みたいな。

 それでマヤはプンスカ怒って帰るんだけど、でも後で振り返って、少しだけ不思議に思ったり。

☆速水さん、お礼言った瞬間に変な顔してた。あれは一体、なんだったんだろう。

☆あんな顔、あたし今まで見たことなかった。

☆笑ってはいないし、怒ってるわけでもなくて・・・あんな速水さん見たことなかった。

☆なぜだろう。あのときの顔がどうしても、忘れられない。

 とかね。そのときの顔覚えていられるのは、速水真澄、一生の不覚だろうな~とか思ってしまいました。マヤに素顔を見られたと思ったら、眠れずに悶々と悩みそうです。

 以上、「もしも春さんが全快していたら」をテーマに、いろいろと語ってみました。 

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