NHKドラマ「正直不動産2」第三話 もしもピアノが置けたなら を見ました。以下、ネタバレ含んでおりますので、ドラマを未見の方はご注意ください。
漫画を原作とするこのドラマ。私は前シーズンの「正直不動産」も見ていましたが、とても面白かった(^^)
とても好評なドラマだったにも関わらず、続編の放映までに時間がかかりましたね。それはヒロイン月下役の福原遥さんが、第1シーズンの放映後に、朝ドラの主役を務めたからかなあ、と思っております。朝ドラの主役と並行して、「正直不動産2」の撮影はできないですもんね。
主役の山下智久さんの、胡散臭さがとてもいい味を出しているドラマです(褒めてます!)
不動産屋さんて、なかなか誠実な業者をみつけるのが難しい分野かなあと思うのですが。それは私が、過去に何度も引越し、また土地売買も自分が体験した上での感想です。
とてもいい人だなあ、誠実な人だなあと思っても。最後の契約の段階で思わぬ落とし穴があったりしました(^^;
そうしなければ、営業成績が上がらないから?契約者のその後を考えたり、契約者の満足度を上げるのではなく、絶対的な「成約主義」、みたいなものがあるのを、以前から不動産業には感じていました。
そんな風に、日頃から不動産屋さんを色眼鏡で見ていた私にとって、このドラマは大変興味深く、参考になるのです。今後もし、不動産屋さんにお世話になるとしたら、気を付けなければいけない点なども、ドラマを見ていると自然と勉強できるのです。
祠の祟り?で嘘が付けなくなった不動産営業職の永瀬財地役を、山下智久さんが演じています。この永瀬役、山下さんの雰囲気がぴったりでした。
一見すごく真面目だし、真剣だし、でも隠しきれない胡散臭さ(^^;そして、その胡散臭さの向こうに見える、素朴さ誠実さ。でもさらにその向こうには、一周まわってやっぱり、ちゃらんぽらんさや、軽薄さが垣間見える。それが永瀬財地。
永瀬と対照的に、カスタマーファーストを押し通す永瀬の月下咲良は、福原遥さん。福原さんは永瀬とは逆のイメージですね。一見優しそうで、純朴そうで、でも案外ちゃっかりした部分もあり。しかしその向こう、一番奥にはやっぱり、誠実さがある。
永瀬も月下も、好感の持てるキャラクターです。永瀬は元々嘘をついてトップ営業職だったけれど、嘘がつけなくなって、トップ営業ではなくなってしまいました。でもどこかその「正直さ」を楽しみ、受け入れている感じがします。祟りをなんとか鎮めようとしながらも、実際に祟りが静まれば、意気消沈しそうな永瀬なのです。
第三話は、狭小住宅がなかなか売れないお話でした。娘にピアノをやらせたいからと、広いところに引越したい夫婦。家の狭さは夫婦仲にも影響し、日が経つにつれ、もうどんなに安くてもいいから売りたいと言い出す夫と、値段は大事と夫の無計画さに呆れる妻。
家は、家族の基本になる場所ですからね。家のことで家族がバラバラになるのはとても悲しいし、かといって、売れる売れないはやはり需要と供給。値段の問題が一番大きいわけです。
どうやって解決するんだろうと思っていましたが、まさかの、「隣の狭小住宅を買い取りましょう」という結末。ここは、さすがにドラマだなーと。現実離れしてます。
そんな経済的余裕がないから、困っているんだと思うし。今の狭小住宅を買うのにローンを目一杯組んで、さらに隣もなんて、それができたら誰も苦労しないでしょう(^^; というか、さらにローン組むことなんて、現実的に無理だと思う。
もし私が不動産業者だったら、まず、狭小住宅を売ることをやんわり諦めさせるかなあ。だって、今の小さな家を売って、ピアノがのびのびと弾ける家を買うこと自体、都心では無理がある。本当にそれがしたいなら、住宅価格の安い郊外に引越すことを考えなくてはいけない。
築浅で家を手放せば、総合的に得はしないのが通常。買ったその日からどんどん値上がりするような異常な立地ならともかく、一度家を買った以上は、そこにずっと住み続けるのが一番経済的だと思うのです。
だから私が月下だったら、たぶん「売るのやめましょう。それよりは、この家の狭さを受け入れ、暮らしやすくする方法を考えましょう」って言っちゃうなあ。営業としてはアウトだと思うけど、本当に相手のご家族のことを考えたら、それがベストかと。
経済的に無理をすれば、必ず破綻します。人生、思わぬ落とし穴がありますからね。ギリギリの生活をしていれば、なにかあったときに対応できません。
もしこのドラマのご夫婦が、ギリギリ無理をして売却したり、新しい家を買ったりしたら、その時はよくてもその先で、きっとつまづいたんじゃないかなあ。例えばですけど、新しく買った家が、思わぬ欠陥住宅だったら?たとえば雨漏り。
いくら保証がついていても、雨漏りなどはなかなか手ごわいですよ。原因が不明で、修理を繰り返すだけでも疲弊してしまう。工事の間は、落ち着いて住むこともできないし、もし金銭面で補償されても、それ以上の被害が生まれてしまう。
また、ご主人が体を壊したり、リストラにあったり、会社が倒産して転職せざるを得なくなったら?たちまち返済計画がつぶれてしまうんじゃないのかなあ。
今の狭い家を売る必然性がピアノだけなら、そこまでリスクを冒して家の買い替え、あるいは隣家を買い取ることは、お勧めできない。
狭い家を広く使うには、ずばり、余分なものを捨てて最小限のもので暮らすこと。漫然と暮らせばついつい物は増えてしまうけれど、家に合わせた、収納範囲内での生活を心がければ、十分暮らせると思う。狭いとはいえ、一戸建てだもの。ワンルームに住んでるわけじゃないし。
余分なものを買わなくなることで、経済的にも余裕が生まれる。貯金を重ねて10年後20年後、無理なく家を買える時がきたら、そのときは自分の理想の家を買えばいい。
家を買うって、なかなかのリスクだから。例えば、近隣にとんでもない迷惑な人が済んでいたら?騒音だったり、ゴミ屋敷だったり、違法路上駐車だったり。そのときになって「やっぱり元の家がよかった」といっても、遅いわけです。
今回の第三話のご夫婦には、今の狭い家を工夫して、楽しく暮していただきたいなあと思うし、そこまで難しい話ではないと思う。
ただ、そんなことを言ってたら不動産営業は務まらないだろうし、相手のライフスタイルまで考えて契約度外視でアドバイスする人なんて、実際はいないんだろうなあ・・・。
そして今回のご夫婦は、妻がひどいと思いました。仕事で帰宅が遅くなって、キッチンでこっそり食事する夫を妻はとがめますが・・・いいじゃないですか。お腹すいてるんだし。お腹すいてたら眠れないでしょうよ。
夜間に食べるのが体に悪いと思うなら、消化の良い、カロリー控えめな食事くらいささっと作ってあげればいいのになと思いました。狭小住宅だからキッチンで夫がごそごそ食べてるのが気になる?それ狭小住宅関係ないんじゃ?
この妻は、広いお屋敷で夫が深夜にラーメン食べてても、絶対文句言うと思う(笑)
今回は解決策が隣家を買うというウルトラCだったので、その点はあまり参考にならないのですが、狭小住宅のメリットデメリットという点では、視聴者にわかりやすく説明できていたかなと思います。
狭小住宅であるからこそ、メリットとしては家の価格が抑えられる、駅近物件でもお得に買える。
デメリットはもちろん、狭いこと。物理的な面積に関しては、もちろん購入後に増減できませんが。整理整頓を工夫し、余計なものを持たないことで、体感的な狭さは少し軽減できるかと。
メリットデメリット両方を検討した上で、自分達の優先順位をどこに置くかで、狭小住宅の購入も十分ありえますね。
今回のお話では、娘さんのピアノ購入が鍵となっていましたが、買うなら電子ピアノがお勧め。電子ピアノならヘッドホンで、いつでも音量気にせずに使えますよ~。
それに本物のピアノは毎年調律も必要ですし、メンテナンスが大変。その点、電子ピアノはメンテナンスも楽で、価格もさまざま。高いものなら本物ピアノに負けない音質も望めますし、私が月下なら、電子ピアノを買うことをお勧めしちゃうかもなあ。
都心で思う存分ピアノが弾ける物件って、ものすごく高額だと思う。隣家を買うという今回の解決策は夢物語だけど、狭小住宅については、いろいろ勉強になる回でした。