松任谷由実の『守ってあげたい』が買い物に行ったお店で流れてて、思わず耳を澄ませた。
実際、人一人を本当に守りきれるかどうか、なんてことは抜きにして。
その真っ直ぐな気持ちが、響いてしみ入る曲なのである。
そして、こんなふうに思われる人は幸せだなあ、と、うっとりするのである。
ああ、いつの間に。純粋な気持ちを失ったのだろう、と感慨にふけったり。
大人になれば、自分を守る術を覚えて、いくつもの予防線を引いている。
世界は優しいと、信じて疑わなかった遠い日が、確かにあったのに。
今は、基本、身構えている。
何があってもいいように。いつも逃げの体勢だったりする。
それが賢いことなのか、どうなのか。
知っていても知らない振りをするし。
余計なことなんて、しゃべらないし。
いつ豹変されても構わないように、言質をとられないよう、必要以外の言葉なんて口にしないし。
息をころしてトンボを採った夏。
あの頃は、余計なことなんてなんにも考えてなかったなあ。
恐怖も不安も、なかったな。
今はもう、トンボを採る気持ち、そのものがなくなっていたり。
多分、今の私には邪念が多すぎて、トンボもおとなしく止まってなんかいてくれないな。
卵が先か、ニワトリが先か、じゃないけれど。
疑うから、疑うような結果が向こうから歩いてくるのか。
ただまっすぐに信じれば、そういう世界しか、現れないのか。
なんとなくだけど。このくらい真っ直ぐな、ピュアな気持ちでいられたら。それ以外の結果なんて、現実化しないんじゃないかと、そう思えたり。
この歌の主人公は。相手の反応なんて、視野にないもんな。
ただただ、愛してる、愛してるって気持ちがあふれるだけで。ひたすら、幸せを祈るだけ。それだけで。
過去の我が身を振り返るような、そんな曲です。